スイス時計のメーカーには、人の姓を組み合わせたブランド名がいくつもありますが、オーデマ ピゲもそんな一つです。時計師ジュール・ルイ・オーデマとエドワール・オーギュスト・ピゲが、1875年に設立したのが始まりです。

オーデマ ピゲの初期の時計は、高度な複雑機能を備えていることで有名でした。ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフ、パーペチュアルカレンダーなどを組み合わせた超複雑時計は、19世紀末の時計界において、オーデマ ピゲの技術力の高さが際立っていることを示す存在でした。

腕時計の時代に移ってからも、オーデマ ピゲの複雑時計の伝統は受け継がれています。ミニッツリピーター、ジャンピングアワー、ムーンフェイズ付きフルカレンダー、クロノグラフなど、高度な技術を生かした腕時計が多数生まれました。第二次大戦後も時計業界をリードし続けており、主力商品を薄型時計に移してからは、世界最薄の腕時計用手巻きムーブメントの開発など、ドレスウォッチが全盛を迎える1950~60年代にあっても独特の存在感を放っていました。

オーデマ ピゲの代表作とも称される「ロイヤルオーク」が発表されたのは1972年です。これは、世界で最初のステンレススティール製の高級腕時計ですが、「高級腕時計といえば貴金属をあしらったドレスウォッチのこと」という従来の価値観を打ち破った革新的な時計です。ベゼルは船の舷窓をイメージさせ、ブレスレットはケースと一体化しているという、当時としては大胆かつ斬新なデザインでした。現在に続くラグジュアリースポーツウォッチというコンセプトを時代に先駆けて採用した時計です。

この「ロイヤルオーク」は、現在もオーデマ ピゲのフラッグシップモデルであり、最新のハイテク技術を取り入れて進化を続けています。他にも、角形ケースの「エドワール・ピゲ」、丸形ケースの「ジュール・オーデマ」、オーバルケースの「ミレネリー」など、伝統と革新を兼ね備えたこのブランドならではの腕時計を生み出し続けています。