ジュエリーブランドとして世界に名を馳せるカルティエが誕生したのは、1853年、宝石細工師のルイ・フランソワ・カルティエがパリにブティックを設立した時にさかのぼります。1880年に時計部門を立ち上げてからは、高級時計ブランドとしても世界的な知名度を獲得してきました。初期のころから世界中の王侯貴族を顧客に抱えるトップブランドで、現在に至るまで百数十年にわたって世界のVIPから絶大な支持を得ているブランドです。

カルティエの時計のなかでも代表作と言ってもよい「サントス」は、1904年、飛行機の父と称されるアルベルト・サントス・デュモンに贈呈されたモデルにちなんでいます。また、第一次大戦で勇躍したルノー戦車のキャタピラをモチーフにデザインされた「タンク」が誕生したのは1919年のことで、このシリーズは現在に至るまでカルティエのフラッグシップモデルとしてさまざまなバリエーションを生み出しています。

3代目のルイ・カルティエ自身がデザインした名品「ベニュワール」が生まれたのは1912年にさかのぼります。当時、ロシア皇帝の御用達に任命されていたカルティエですが、ルイ・カルティエがサンクトペテルブルクを訪れた際、パブロヴナ大公妃が身に付けていたダイヤモンドとオニキスのジュエリーを目にし、そのデザインからヒントを得たことがきっかけです。「ベニュワール」と呼ばれるようになったのは1973年からですが、今もカルティエの歴史を代表するデザインとして親しまれています。2009年には「ベニュワール」のコレクションが刷新され、ラージモデルがパリの右岸の、スモールモデルがパリの左岸のイメージを受けて、デザインされ直されました。2011年発表の「ミニベニュワール」は、オリジナルの柔らかさを保ちながらも、現代的な鋭い面立ちが特徴です。

確立した地位に安住せず、時代に合ったデザインとラインナップで世界を魅了し続けるカルティエは、今後もジュエリーとともに高級腕時計ブランドとしても、世界のトップにあり続けることでしょう。